本書は、主に牧草育種の立場から草類の遺伝資源としての保全と活用について解説したものである。
■概要
発売日:2024年7月25日
編 集:日本草地学会
■内容について
SDGsが示している気候変動及びその影響を軽減する対策には、地球温暖化にともなう耐暑性、耐干性、バイオマスに優れる飼料作物の育成など厳しい環境にも適応可能な新たな草品種の創出が欠かせません。
そのためには、生物多様性に裏打ちされた育種素材の保護と活用が必要です。
このような取り組みが「飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する」ことにつながると考えられます。
シリーズ3冊目となる本書は、家畜生産を通じて草地農業にも大きな貢献が期待されるものとして「草類遺伝資源の保全と活用」というテーマで取りまとめ、主に牧草育種の立場からわかりやすく解説しました。
■目次
第1編●植物遺伝資源利用における課題と今後の展開
第1章 海外植物遺伝資源の探索・収集・輸入・利用の実例と留意点
第2章 ブルガリアにおける遺伝資源の探索収集
第3章 サトウキビ育種への遺伝資源利用の現状とさらなる可能性
第4章 ブラキアリア属牧草の南米および東南アジアにおける利用と特性
第2編●ゲノム情報からみた生物多様性
第5章 寒地型イネ科牧草およびバイオマス資源作物のゲノム解析
第6章 イネのゲノム中のAT反復配列は種々のDNAを取り込む進化の原動力
第7章 イネゲノムの反復配列に基づく低温鈍感力の解析
第8章 ゲノムおよび形質情報を用いたイネ科作物のスマート育種研究
第9章 ゲノムワイドマーカーを用いたモデル化に基づく遺伝資源の戦略的活用
第3編●遺伝子組換え生物の可能性とリスク
第10章 寒地型イネ科牧草における遺伝子組換え体の育種利用への展望
第11章 バイオテクノロジーによる暖地型イネ科牧草の育種
第4編●草類の育種
第12章 暖地型イネ科牧草の育種と遺伝的研究
第13章 暖地型牧草育種の今後の方向性
第14章 ギニアグラスの育種経緯と品種および利用
第15章 ブラキアリアグラスの育種経緯と品種および利用
第16章 ローズグラスの育種経緯と品種および利用
第17章 ソルガム類の近年の品種育成動向
第18章 飼料用イネの品種特性と課題
第5編●バイオマスとしての草類の利用
第19章 熱帯牧草を中心にした草本性バイオマスの特性と品種改良
第20章 ススキ属植物の系統進化における交雑の影響
第21章 バイオマス向けススキ属種間雑種作出に向けたオギ遺伝資源の探索・収集
第22章 日本在来ススキの地理的遺伝構造と法面緑化における国内外来種問題
索引
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草地科学シリーズ3 草類遺伝資源の保全と活用3,850円 (税込)