2020年11月16日 発売
「世界におけるジャポニカ米の流通、食味及び展望 」
編著者: 松江勇次, 伊東正一
■内容について
日本は少子高齢化に伴い、食料市場が縮小している。一方でアジアを中心とした世界では、人口増加と経済成長を続けている国は多い。世界的な日本食の人気も高まっている。
米の輸出拡大は日本農業の重要な課題である。しかし、日本の米の世界的な評価に関する情報は少ない。また、国際市場では、流通している米の大半はインディカ米であり、日本米を含むジャポニカ米の市場は小さく、アメリカなど競争相手となる国も多い。
中国は米の生産量及び消費量が世界最大であり、国民の所得と生活水準の向上に伴い、ジャポニカ米の消費が増加している。中国がジャポニカ米の国際市場に及ぼす影響は大きい。
本書では、日本の米の輸出拡大の可能性を考察する。
■目次
まえがき
第Ⅰ部 世界の米とジャポニカ米の動き
第1章
コメをとりまく世界の食料需給と国際価格の推移
1.価格高騰に刺激された2000年代の世界の食料増産
2.拡大するコメ貿易
3.ジャポニカ米とインディカ米の価格変動
4.コロナ禍などの世界的異変時における食料の貿易メカニズム
参考文献
第2章
米生産コストの国際比較と国産米の競争力向上方策
-日本・イタリア・アメリカを対象に-
1.はじめに
2.日本産米の生産コスト
3.イタリアにおける米生産コストとコスト低減対策
4.アメリカ・カリフォルニアにおける米生産コスト
5.米生産コストの国際比較-日本・イタリア・アメリカ(カリフォルニア)-
6.日本産米の国際競争力の向上方策
7.おわりに
参考文献
第3章
中国におけるジャポニカ米の生産拡大
1.中国人のジャポニカ米し好とコメ生産
2.中国の水稲の作季型区分とジャポニカ米のシェア
3.中国におけるコメの巨大在庫量,需給状況の変化と今後の課題
参考文献
第4章
アメリカにおけるジャポニカ米及び稲作の生産拡大の限界
1.アメリカの稲作面積の推移
2.生産拡大できない加州産米の実情
3.稲作が拡大できない南部の状況
4.アメリカの稲作の行くえ
**南部のハイブリッド米の一側面
参考文献
第5章
ミャンマーにおけるコメ産業の構造変化と国際市場との関係
1.はじめに
2.ミャンマーの社会経済体制とコメ政策の変遷
3.ミャンマーにおけるコメ生産の状況
4.産業構造の特徴とその波及効果
5.国際コメ市場との連動性
6.むすびに代えて
参考文献
第Ⅱ部 内外産ジャポニカ米の食味評価
第6章
海外産ジャポニカ米の食味評価と新たな食味評価方法の試み
1.はじめに
2.これまでの成果
3.海外産ジャポニカ米の食味
4.最近の中国におけるジャポニカ米の食味
5.中国人パネルによる食味官能評価の精度
6.新たな食味評価方法
7.おわりに
参考文献
第7章
外国産ジャポニカ米の食味関連理化学特性の評価
1.中国国家糧食局の試料米の食味関連理化学特性の評価
2.黒龍江省の各種ジャポニカ米の食味関連理化学特性の評価
3.韓国産米の理化学特性評価
4.世界の広範な特性の米の評価
参考文献
第8章
白米の水分含有率と炊飯特性及び食味官能評価
1.はじめに
2.日本人が美味しいと感じるご飯とは?
3.米の水分含有率と食味の関係
4.おわりに
参考文献
第9章
省力・低コスト栽培による乾田直播栽培米の食味官能評価
1.はじめに
2.国産ジャポニカ米の食味評価と官能特性
3.省力・低コスト栽培による良食味米生産の可能性
4.プラウ耕鎮圧・高速播種体系の乾田直播栽培による良食味米生産
5.おわりに
参考文献
第10章
コメの食味と価格の関連性分析及び今後の課題
1.はじめに
2.品種別にみた価格の状況
3.食味官能試験の評価値と市場価格の関連性分析
4.今後の課題
参考文献
第Ⅲ部 アンケート調査による食と健康管理の実態及び和食の志向
第11章
米国テキサス州における和食の定着状況と潜在性
1.背景と目的-コメ摂取と健康との関連-
2.テキサス州カレッジステーション市の概要
3.コメの摂取状況に関するアンケート調査
4.まとめ
参考文献
第12章
ミャンマーの和食への認知度
-日本食およびジャポニカ米に対する嗜好調査-
1.ミャンマーにおける米の消費動向
2.ミャンマーにおける日本食とジャポニカ米に関するアンケート調査
3.ミャンマー人の日本食に対する興味とジャポニカ米喫食経験と嗜好性
4.考察
参考文献
第13章
ミャンマーの若年女性における栄養素等摂取状況
1.ミャンマーの概要
2.ミャンマーにおける栄養問題の実状
3.ミャンマーの女子大学生の食生活状況
4.ミャンマーにおけるジャポニカ米消費の潜在性
参考文献
第14章
日本の若者の食事摂取状況
-若年女性のやせ志向-
1.日本における米の消費動向と若年女性における摂取状況
2.若年女性を対象にしたアンケート調査
3.若年女性における今日の食生活状況
4.やせ志向・ダイエット志向の顕在化
5.米飯消費拡大の可能性を考える
参考文献
第Ⅳ部 米をとりまく新しい世界の流れ
第15章
シンガポールにおける日本食レストランの姿
1.はじめに
2.シンガポールの食事情とフードサービス業
3.シンガポールにおける日本食レストラン
4.シンガポールにおけるコメ
5.ジャポニカ米輸出事例:シンガポールへコメ輸出する(株)Wakka Japan
6.まとめにかえて
参考文献
付記
第16章
資源循環型の地域農業デザイン
-有機性廃棄物を肥料とした循環米の消費動向-
1.はじめに
2.大木町調査の概要
3.循環型まちづくりに関する共分散構造分析によるパス解析
4.液肥の利用と循環米の消費
5.おわりに
参考文献
第17章
気候変動による稲作への影響
-メコンデルタにおける稲作の塩害と労働移動-
1.メコンデルタのコメ生産と気候変動
2.塩害への対応と地域別塩分濃度
3.所得階層別にみた塩害の影響
4.おわりに
参考文献
第18章
世界に広がるヴィーガン食(Vegan)ブームの波
-日本食ブームはこれに耐えられるか?-
1.世界に広がる植物由来の食:ヴィーガン
2.植物由来食ブームの背景
3.アメリカで広がる健康と食のセミナーや学会
4.レストラン業界もヴィーガン食を導入
5.農業,日本食ブームへのインパクト
参考文献
あとがき
索引
著者一覧
-
世界におけるジャポニカ米の流通、食味及び展望3,740円 (税込)