畜産の研究 2021年3月1日発売 第75巻 第3号

戦後、日本の畜産は先進国に一刻も早く追いつこうと、暗中模索のうちに数多くの研究が行われていました。そのような背景のもとで、昭和22年に姉妹誌である「農業および園芸」から、注目を浴び始めた畜産分野を独立させたのが本誌です。本誌は畜産研究関係者の中でも、試験研究所・大学先進農家に主な読者層を有し、研究要報や農家の経営事例をはじめとし、さまざまな情報を提供し続けています。

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判型 B5判
発行日 2021/03/01
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目次

産業動物

世界の人口は98億人(2050年)に
-食料・水不足が国際紛争の火種に-

加藤技術士事務所 技術士(農業)
加藤武市

「NPO法人いきいき畜産ちばサポートセンター」の設立とその活動

NPO法人いきいき畜産ちばサポートセンター
薫田耕平
高梨 勝
松田延儀
前之園 孝光

人類の進化と新しい畜産技術;培養肉

元農林水産省畜産試験場・近畿大学名誉教授
角田幸雄

哺乳動物の精子(1)
-精子の歩んだ道-

信州大学名誉教授
辻井弘忠

家畜飼養管理の実践(15)
-排せつ物の処理-

静岡県立農林環境専門職大学生産環境経営学部
祐森誠司

静岡県畜産技術研究所飼料環境科
佐藤克昭

元東京農業大学
佐藤光夫

飼料学(192)
-木材の飼料活用-

静岡県立農林環境専門職大学
祐森誠司

(一社)日本科学飼料協会
石橋 晃

Dr. Ossyの畜産・知ったかぶり(117)
戦争と動物③ハト

麻布大学名誉教授
押田敏雄

静岡県立農林環境専門職大学生産環境経営学部
祐森誠司

日本技術士会によるミャンマーとの技術協力の進め方

公益社団法人 日本技術士会 海外活動支援委員会ミャンマー小委員会所属
技術士(農業部門)、獣医師、博士(農学)、
森山獣医師・技術士事務所代表、日本獣医生命科学大学
森山浩光

技術士(機械部門)、監理技術者(電・管・機械器具)、APEC Engineer(ME)、
小林政徳技術士事務所代表
小林政徳

技術士(上下水道部門)、
日本工営株式会社 エネルギー事業統括本部プラント事業部機械技術部
野辺建湧

技術士(農業部門)、
JICA(国際協力機構)経済開発部
日原一智

コロナ禍等に伴う食糧危機・これからの農牧生産・食糧増産戦略の必要性(3)
-中国における食糧生産実情(その1)-

(株)宏大 & エクアドル、リトラル工科大学
冨田健太郎

日本養鶏史上最悪の殺処分数を記録
-高病原性鳥インフルエンザ(H5N8亜型)の国内まん延-

獣医師、Texas A & M., Ph. D.
小野嘉隆

説明

今月のピックアップ

人類の進化と新しい畜産技術;培養肉

約600万年前にアフリカで進化した人類は、当初はベジタリアンであった。
その後、進化の過程で獣肉を食べることを覚え、エネルギーを大量に獲得できるようになった。

もしも、人類がベジタリアンのままであったとすれば、おそらく脳容積はこれほど大きくならず、農業を開発することもなく、現在のような高度な文明社会を築くことは難しかったのではないかと想像できる。
そして人類は様々な食材を食べる雑食性となったことで、変動する地球環境を生き延び、世界中へ拡散して、進化を続けて繁栄を築いていった。

しかし、世界人口が急増を続けて、食糧不足が危惧されるようになった。
とりわけ、家畜(以下、家禽を含む)生産に対して、資源効率の低さ、環境負荷の大きさ、動物福祉への意識の高まり、感染症の危惧、生活習慣病の誘起、など人類の生存を脅かすような負のイメージが強調されるようになってきた。

そこで、新しい畜産技術として登場してきたのが、「培養肉」作成技術と言える。
本稿では、培養肉が登場してきた進化的背景を議論し、培養肉とはどんな肉か、なぜ培養肉が必要なのか、どの程度開発が進んでいるのかを見てみたい。

元農林水産省畜産試験場・近畿大学名誉教授
角田幸雄

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