目次
第1編 序 論
第 1章 品種の概念
第 2章 交雑育種の過程
第2編 量的形質の環境変異解析
第 3章 圃場内環境変異の分散分析による解析
第 4章 圃場内個体の環境分散
第 5章 遺伝特性の識別性
第 6章 分散分析によらない環境変動の評価
第3編 選 抜
第 7章 育成地における選抜
第 8章 量的形質の選抜・淘汰
第 9章 地域・場所間変動と選抜
第4編 狭義の遺伝率
第10章 狭義の遺伝率の概念
第11章 狭義の遺伝率の推定と選抜の反応
第12章 狭義の遺伝率の果樹育種への適用例
第5編 果樹育種の実際
第13章 少数の母本品種・系統の多用
第14章 近親交配を防ぐ育種法
第6編 果樹育種に適合した統計的遺伝解析
第15章 親の情報から子の遺伝子型値分布を予測する解析
第16章 解析例
第17章 簡便な近似的遺伝解析方法
第18章 組合せ能力の推定
第7編 交雑育種の進め方
第19章 育種目標・交配・選抜
参考・引用文献
索 引
説明
果樹の品種育成は、主に交雑育種によって行われてきた。多くの成果が上がっており、リンゴの「ふじ」、ナシの「幸水」、ブドウの「巨峰」など顕著な例も多い。
果樹の交雑育種では、交雑して種子をとり、播種して実生とする。樹を育てて果実を成らせ、目的とする特性を持つ個体を選ぶ。目的に合った個体を1つ選ぶことができれば、それは接ぎ木で繁殖され、新品種として広く栽培される。
単純な過程であるが、一般に10年以上の年月がかかる。樹が成長して果実を結実するまでに時間がかかること、また、果樹生産に重要な形質の多くが量的形質で環境変動を受けやすいため、特性を見極めるのに年月を要していることが主な理由である。
育種は商品生産性の高い品種を作ることを目的としているので、品種としての特性を知るには、栽培技術に通じて樹体を育成でき、商品性の高い果実を生産できることが必要である。
育種を成功させる道は、交雑から生まれる子をできるだけ正確に予測し、適切な交雑組合せを選ぶとともに、目的とする子が生じる確率をもとに必要な数の交雑実生を育成すること、そして、一定の栽培条件で実生を育成し、効率的かつ確実に目的とする実生を選抜することにある。
本書は、果樹育種の現実に近いモデルを用い、この方法の理論化と体系化を行ったものである。本書が、果樹育種に取り組む方々、学ぶ方々、関係した研究をする方々などに資するものとなれば幸いである。
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