環境保全型農業の理化学

3,300 (税込)

未利用の無機質資源や有機の生物廃材料を食料生産と緑化に有効利用する技術的方法を記述。

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判型 A5判
第1版
ページ数 219
発行日 2009/05/30
ISBN-13 978-4-8425-0452-0 C3061
ISBN-10 4-8425-0452-8
JAN 1923061030009
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図書館: カーリル
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目次

第1章 総論 ─ 地域資源を活かした環境維持
1.文明を問う
2.『環境にやさしい農業』
3.健康な土に学ぶ
4.イネを冷害から守った土
5.コメ凶作は人為的要因
6.撫育を培う千枚田の田植え
7.地域農業
8.「効果あり」の一行追加に30年
9.環境保全型農業と草刈り・除草
コラム1.1 回転寿しの1個は500粒の米で
10.農薬の使用に配慮、記録を
11.施設を長く維持するための保守・安全管理

第2章 水田環境
1.土は生きている
2.身近な土と米(?)
3.米づくりに見る“反面教師”
4.市街化と用水環境の保全
5.河北潟沿岸における環境保全を配慮した水稲省力栽培
6.河北潟沿岸水田土壌の特徴
7.流水客土
8.棚田サミットに寄せて
9.期待される不耕起農法
10.街の灯が見える棚田
コラム2.1 千枚田の援農に参加して
11.米減収3つの理由
12.米ヌカを有機米づくりに使う
13.地力を高める作物の利用
14.マメ科植物による減肥・抑草の利用
15.まこも
16.栽培する作物を選ぶ
17.菜の花などから生まれるバイオマス燃料(例)

第3章 環境の生物性廃棄資材と利用、堆肥化
1.里山の資源が支える地域の発展性
コラム3.1 里山利用優等生の悩み
2.里山荒廃、竹が侵入
3.竹肥料を使うなら、チッソとセットで
4.森林再生へ間伐材を堆肥化
5.堤防刈草の堆肥化
6.堆肥化作業実践上の現場における留意事項
コラム3.2 ねぎのお布団
7.抑草と保健機能が高い堆肥施用が必須のフキ
8.肥料は貴方の側がよい、有機物の施肥位置と植物の生育
9.もみ殻の利用
10.農村生活排水から有用な有機質肥料
11.繊維類の農業分野への利用
12.捨てられる地域の材料から新しい商品提案

第4章 未利用資源を使う-地域資源 貝化石、カキ殻およびFA
1.貝化石(肥料)の産状と性質、肥効
2.芝に対する貝化石肥料の効果について
3.能登半島のカキ殻より新しい肥料
4.七尾西湾カキ殻肥料のコシヒカリに対する効果
休憩 ─ 青いバラ ─
5.見直される珪藻土資源
6.珪藻土の農業用資材への応用
7.石炭灰(FA)の農業利用、FAの性質、野菜に対するFAの肥培効果について
コラム4.1 環境を利用した逸品づくり
8.キュウリへの肥効
9.ハクサイに対するFA、カキ鉄の効果
10.コシヒカリに対するケイ酸質資材(FAなど)の効果
11.機能水と農薬や化学肥料の節減
12.いらかの波を緑につなぐ

第5章 沙漠などの緑化と食料生産へ
1.ゴビ砂漠で「あきたこまち」実る
2.ゴビ砂漠にコシヒカリ
3.能登半島に沙漠がやってきた
4.沙漠緑化の遠山正瑛先生
5.日中技術協力、友好に高い柵は不要
6.沙漠でイネを育てる砂漠緑化に新施肥法開発
7.乾燥地土壌における有機物の分解
8.汚染土壌の浄化、鉱物化事例
9.ファイトレメデイエーション
コラム5.1 「環境と人間」

第6章 明るい農業生産環境を─ 政策提言 ─
1.農業に未来はある
2.豊かな土と心をつくるアグリ・環境博の開催を
3.地域産業の後継者をどう育てる
4.需要多き安全な食料生産
5.新技術転移で元気な農村を再び
6.土の骨と肉の補修
7.農業技術転移 ─ 2007年から2008年へ ─

応用科学としての農学…あとがきに代えて

資 料
索 引
技術資料

説明

我々は緑豊かな環境下、自分の目で見えるところや信頼できる場所で安全なおいしい食料が生産され、それが口に入り、健康が維持されることを望んでいる。この際、できれば地域において周辺の資材を活用して生産されればなお望ましい。このような視点から、ここでは「敬土愛農」の理念をもとに、北陸地域を例に・地域資源の持続的な有効利用、・環境を生かした持続的な食料生産、・関連産業の維持発展につながる実際的技術改良や分野の方向性提示、の3つをテーマに筆者らが取組んだ例を本書で紹介している。すなわち、土中の溢れる未利用の無機質資源や有機の生物性廃材料を食料生産と緑化、環境保全等への有効利用を図った具体的な事例を挙げ、試験結果および関連する事象の理化学的背景などを記した。おりしも化石燃料やリン酸、カリウム含有鉱物等の国際価格高騰を受けて肥料価格が大幅に値上がり、多量施肥依存農法が見直されている。このため皮肉にも灯台もと暗し的に存在する地域未利用資源の利用が各方面でいちやく注目されるようになった。この点で本書の内容は現場での応用実践上、具体的に参考となろう。

ところで、わが国の1人当たりゴミ排出量は1日約1kgとされている。生ごみ、汚泥、糞尿、廃木材などを「燃やせば」、「うめれば」、「投棄すれば」などとかつてのように単純に処理することが今や社会では認められなくなりつつある。すぐ始末、処理しないと糞づまり状況になり、産業社会が循環しなくなる。廃棄物処理の仕方は今後、生命を支える環境の重要な課題でもある。いわゆる静脈産業の順調な発展が一層期待されている。ちなみに、人口10万人の北陸K市では1日150t弱のごみを、環境行政で収集、焼却しているが、このうち約1/3は生ごみという。個々の発生家庭等で堆肥化をより促すよう啓蒙や助成支援をし、さらに耕地、庭や菜園土壌への還元などに導けば現行処理費用の25~30%は節約でき節税につながる。

当初本書は、「循環農業」や「環境保全型農業」を初歩から科学的かつ実践的に学びたいと考える方々への参考テキストを作る思いから出発した。勉学への動機付けのためできるだけ具体例、試験例を中心に簡潔に記述した。また、この分野に関心を持たれる一般の方々に何らかの参考になれば幸である。なお、資料として筆者が2006年度の日本土壌肥料学会技術賞拝受の対象業績「地域資源を活かした実践的な生産環境維持技術の研究と啓蒙」関連のものを付けた。肥料や土壌改良材など新しい商品開発、農用資材や技術改良に関心を寄せられる方々に何か役立てばありがたい。

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