目次
第1章 流れの基礎
1.1 単位と次元
1.2 数学的な準備
1.3 流体の基礎的な定義
1.4 運動の記述に関する定義
1.5 流れの動力学
1.6 基礎方程式の導出
第1章の演習問題
第2章 理想流体(非粘性流体)の力学
2.1 理想流体を支配する方程式
2.2 循環および循環定理
2.3 流れ関数
2.4 速度ポテンシャル
2.5 複素ポテンシャル
2.6 複素ポテンシャルにより表される簡単な流れ
2.7 等角写像
2.8 等角写像の応用
第2章の演習問題
第3章 粘性流体の力学
3.1 運動方程式
3.2 速度分布
3.3 境界層
3.4 噴流と後流
3.5 物体の抗力(抵抗)と揚力
第3章の演習問題
第4章 圧縮性流体の力学
4.1 熱力学的関係式
4.2 音速とマッハ数
4.3 一次元流れ
4.4 衝撃波
第4章の演習問題
第5章 流れの測定・予測(数値解析)
5.1 測定
5.2 数値流体力学
第5章の演習問題
第6章 実際の複雑な流れ
6.1 乱流構造
6.2 大気乱流
6.3 混相流
6.4 流体機械における流れ
第6章の演習問題
演習問題の解答
参考文献
索引
説明
自然界および私達の生活でみられるミクロからマクロにわたる多種・多様な流れ現象を理解しそれを有効に利用するには,流体力学(fluid dynamics)や流体工学(fluid engineering)の知識と手法が極めて重要である。また,近年,私たちの生活を脅かすような種々の環境エネルギー問題,例えば,汚染物質の拡散による大気や水環境の汚染,地球の温暖化や異常気象に関する省エネルギーや気象に関係する問題,などが生じその早急な解決が強く求められている。その際,流体,熱および物質の移動・拡散が主に対流によって(流れに乗って)おこなわれる場合,流体の運動・挙動がその現象に対して決定的に支配的となる。この意味でも,流体力学や流体工学の知識や手法を理解し習得することが極めて重要になる。また,種々の流体機械やエンジンなどの熱機関の効率を改善し省エネルギー化を図るにも,流体力学や流体工学の知識や手法が鍵となる重要な事項である。ところで,観点を変え世の中の事象が時間の経過とともに推移することを考えると,そのほとんど全てが ”流れ” という言葉,現象に関係する。例えば,すぐに思い当たる水や空気などの流体の流れだけでなく,物の流れ(物流),車・人の流れ(交通流),あるいは,時の流れ(歴史),などである。
このような点からも,流体力学や流体工学の知識や手法への興味は尽きない。本書では特に流体の流れ現象について,その特徴と取り扱い方法を理論的,数値的および実験的解析に基づいて説明する。この種の書として既に国内外に多くの名著が存在することは承知しているが上記の観点から,本書ではまず流体力学や流体工学の基礎的事項の理解と習得に主眼を置き,実際的な問題をも含めて,例題を取り上げながらそれらを説明する。次いで,流体力学や流体工学現象を数学的に記述しそれらを理論的に解析することについて説明する。例えば,第1章で基礎方程式(質量や運動量などの各種保存式),第2章で理想流体(非圧縮,非粘性流体)の力学,さらに実際の流体の流れ現象を数学的に記述しそれらの解析結果を実験結果を使って補足,拡充させ実用に供することについて説明する。[例えば,第3章で粘性流体の力学(境界層,噴流と後流,物体の抗力と揚力)、第4章で圧縮性流体の力学]。また,流れの測定法,数値解析法の概略を説明する(第5章 流れの測定・予測,数値流体力学)とともに,実際の複雑な流れについて幾つかの例を示しながら説明する(第6章 実際の複雑な流れ)。
著者らは,大学工学部,大学院工学研究科において「流体力学」,「輸送現象論」および「環境流動学」など流体力学や流体工学に関係する講義や研究をおこなっているが,学生にとっては理解しにくい多くの事項・内容がある。このようなことから,本書は流体力学,流体工学を学ぶ工学関係の大学生,大学院生および技術者を対象に,流れ現象が理解し易いように著された教科書または参考書である。なお,内容を理解し易くするために,多くの例題と演習問題を取り入れた。
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