事故・災害事例とその対策

4,400 (税込)

本書では、通常の事故事例集にあるような各事故の原因、そのシーケンス、技術的要
因、結果などの 現象論的記述は最小限にとどめ、災害事故の社会的要因、システム的な欠陥など教訓や防止策に つながるような視点や分析、切り口を重要視するという立場から解析・記述されている。
その意味で、まさに事故防止の“処方箋”として本書をご利用していただければ幸いと考えている。

在庫あり

判型 B5判
第1版
ページ数 192
発行日 2005/11/15
ISBN-13 978-4-8425-0377-6 C3053
ISBN-10 4-8425-0377-7
JAN 1923053040009
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図書館: カーリル
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目次

第1部 火災・爆発事故
エチレンプラント水添塔爆発事故:西武・高槻ショッピングセンター火災:ポリプロピレンプラント爆発事故:英国フリックスボロー爆発事故:大清水トンネルでの建設工事中の火災:テフロン焼成炉爆発事故:長崎屋・尼崎店火災:液化窒素貯槽爆発事故:富士石油・袖ヶ浦製油所爆発事故:ごみ処理施設での製本ごみの粉塵爆発事故:圧縮空気貯槽破損事故:廃プラスチック油化施設での漏洩・火災:首都高での過酸化水素運搬タンクローリ爆発事故:ヒドロキシルアミン製造工場の爆発事故:韓国でのMEKPOの爆発・火災:住友化学工業・千葉工場火災:セルフガソリンスタンドでの静電気着火火災
第2部 破損・破壊および交通機関の事故
日本航空ジャンボ機「B747」墜落事故:天井クレーンのガーダの折損による落下事故:余部鉄橋車両転落事故:信楽高原鉄道車両衝突事故:中華航空機名古屋空港着陸失敗事故:高速増殖原型炉「もんじゅ」ナトリウム漏洩事故:オイルタンカー「ナホトカ号」油流出事故:純国産ロケット「H-・8号機」爆発事故:地下鉄日比谷線脱線衝突事故:日本航空機ニアミス事故
第3部 その他の社会的事件・事故
森永ヒ素ミルク中毒事件:6価クロム不法投棄事件:健康センター新築工事土砂崩壊事故:国分川分水路改修工事現場トンネル水没事故:横浜市立大学附属病院患者取違え事故:東海村核燃料加工工場臨界事故(JCO事故):雪印乳業・食品中毒事件:ジャケット型マッサージ器による窒息事故
事故・災害要因マトリックス
事故・災害年表
索引

説明

21世紀に入って数年、わが国においても、社会全体にインパクトを与えるような災害事故が頻発し続けている。ごく最近今年の4月にも、JR西日本福知山線脱線事故のように、一度に多くの尊い人命が失われるという悲惨な事故が起っている。JR西日本福知山線の事故もそうであるが、最近の災害事故は、単なる技術的欠陥や失敗ということでなく、高度に発達した科学技術と人や組織・文化を含めたいわゆる“複雑化した社会システム”とのはざま(インターフェイス)での“知の失敗”というべき「構造的災害事故(構造災)」の様相を色濃く持っている。われわれの社会の安全や安心を脅かす元凶としての“構造災”は、どのようなことに起因し、何故繰り返され、回避・低減できないのか?まさに、新しい意味での安全工学(安全科学といってもよい)の真価が問われる時代になっていると思う。ここでいう“新しい意味”とは、災害事象(自然災害も含む)を科学技術と人間社会との相互作用に起因する現象という視点で捉える立場と考えたい。
安全工学または安全科学の発展には、われわれが過去に経験した災害事例の解析とそれらからもたらされる種々の教訓が必要不可欠であったことはいうまでもない。それゆえ、現在までに災害事例の収集や解析ならびにそれらのデータベース化など、多様なことがなされ、その成果としての出版物も多くある。しかしながら、過去から現在まで多くの災害事故事例研究がなされているにもかかわらず、「われわれが事故から学ぶことは、われわれは過去の事故例から何も学んでいないことである」という認識もあることも事実であろう。何故か?やはり、失敗・事故例からどのようなことを、どのようにして学ぶのかという方法論の確立がまだ十分でないことに起因しているといえる。事故の防止や回避に結びつけるアプローチ方法の考え方が必要に思う。本書のサブタイトルに「再発防止のための処方箋」を掲げたのは、少しでもこの難題に切り込む道筋をつけることができたらとの思いからである。
本学会の「災害事例解析と防止対策検討委員会」では、社会的要因を重視するという観点から、事故防止策と安全施策立案に資する事例研究に絞るため、まず分析対象となるべき具体的事故事例の選択を行った。そこでは、主としてわが国で(一部は海外のものを含む)おおよそ過去30年間に発生した災害事故の候補事例を挙げ、それらがいかなる着眼点から、いかなる切り口で解析でき、どのような内容としてまとめられるかを個々の候補事例につき要因マトリックス表や事故シーケンスのフローシートなどを作成して委員全員で議論・検討した。その結果、本書編纂の趣旨に合致し、かつ重要で興味のある事故として35件の事故事例を選んだ。これらのなかには、技術的システムそのものを対象としたものでなく、社会的事件なども含まれており、このことは事例解析に対するわれわれの基本的姿勢を示すもので、本書の特徴の一つとして考えていただきたい。
検討のベース資料となった要因マトリックス表は本書の冒頭に収録されており、読者の皆様が本書を利用する際に、事例集全体を概観するのに都合がよいという意味ばかりでなく、要因マトリックス表が、われわれがどのような視点でこの事例解析集をまとめたかということを御理解する一助になればと思っている。
本書では、通常の事故事例集にあるような各事故の原因、そのシーケンス、技術的要因、結果などの現象論的記述は最小限にとどめ、災害事故の社会的要因、システム的な欠陥など教訓や防止策につながるような視点や分析切り口を重要視するという立場から解析・記述されている。その意味で、まさに事故防止の“処方箋”として本書をご利用していただければ幸いと考えている。
(まえがきより抜粋)

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