目次
1章 ひずみエネルギー(1.引張り(圧縮)、2.せん断、3.三次元ひずみエネルギー、4.平板の曲げひずみエネルギー、5.直交異方性体、6.円筒殻のひずみエネルギー、演習問題)
2章 カステリアノの定理(1.マックスウェルの定理、2.カステリアノの定理、3.最小仕事の定理、演習問題)
3章 ポテンシャルエネルギー原理(1.仮想仕事の原理、2.変分、3.ポテンシャルエネルギー原理、演習問題)
4章 コンプレメンタリエネルギー原理(1.コンプレメンタリエネルギー原理、2.サン・ブナンのねじり、3.横せん断変形を考慮した平板の曲げ理論、演習問題)
5章 直接法(1.ポテンシャルエネルギー原理の応用、2.コンプレメンタリエネルギー原理の応用、演習問題)、6章 上・下界定理(1.ライスナーの原理、2.汎関数の不等関係、3.変断面長柱の圧縮座屈、4.ねじり問題とねじり剛性の上界、 演習問題)
7章 ガラーキン法(1.ガラーキン法、2.エネルギー法との関連、演習問題)
8章 ハミルトンの原理(1.ハミルトンの変分原理、2.ラグランジの運動方程式、3.エネルギー保存の法則、4.減衰力のある場合、演習問題)
9章 有限変形問題(1.非線形ひずみ表示式、2.直交曲線座標系におけるひずみ表示式、3.有限変位弾性論とエネルギー原理、4.平板の大たわみ理論、演習問題)
引用文献
参考図書
索引
説明
本書は、機械・土木・建築関係の学生および技術者が構造物やその要素の応力、変形を解析するに当たって、有用な“エネルギー法”の原理を理解するとともに、その応用能力を高めることを願ってかかれたものである。
エネルギー法は、古くから使われてきた便利な解析法で、材料力学、弾性力学および構造力学の教科書には必ず記載されているので、これらを修得された読者には一応の基礎知識があるものと予想している。取り扱った構造物の解析は弾性範囲のみに限定した。
エネルギー法は、厳密解が容易に得られないような問題の実用的な近似解(解析解)を与えることに大きなメリットがある。解析解は数値解と違って、次元解析を自動的に含んでいるので、設計公式を得るのに極めて有用である。すなわち、解析解によれば、構造寸法や材料定数がどのような形で含まれているかが一目瞭然であるからである。
一般に、弾性問題には常に二つの立場がある。応力を先に求めるか、変位を先に求めるかである。前者の場合(コンプレメンタリエネルギー原理に対応する)、変位は応力を積分することによって得られるのに対し、後者の場合(ポテンシャルエネルギー原理に対応する)、応力は変位を微分することによって得られる。近似解の微分による誤差は一般に大きくなることが知られているが、それにもかかわらず、通常ポテンシャルエネルギー原理が広く用いられているのは、仮定すべき変位の比較関数が可視的であるため、比較的容易に表現できるからであろう。
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