機械の研究 2023年10月1日発売 第75巻 第10号

2,970 (税込)

本誌「機械の研究」は、1949年(昭和24年)、それまでの
機械工学の概念を脱却して、工学・工業の一環としての機
械工学に関する新しい研究と技術の進歩を提供する事をそ
の主眼に創刊した月刊誌です。工学全般・工業に関連した
研究分野において、最新かつ重要な学理および興味深い研
究成果を平易に解説しています。

在庫あり

判型 B5判
発行日 2023/10/01
JAN 4910028171032
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目次

展望・総説・総論

非線形超音波法を用いたき裂評価における分調波発生現象の数値シミュレーション

東京工業大学 環境・社会理工学院 准教授
丸山泰蔵

統計的実験データ解析による疲労損傷の検出技術

熊本大学大学院 先端科学研究部 准教授
黒田雅利

Non-smoothな接触をともなう系の運動解析法 その2

青山学院大学 理工学部 機械創造工学科 教授
菅原佳城

鉄道車両の車体弾性振動とその低減に関する研究開発(2)
鉄道車両の車体弾性振動のモデリング

秋田県立大学 システム科学技術学部 機械工学科 教授
富岡隆弘

鉄道総合技術研究所 車両技術研究部 車両振動研究室
秋山裕喜

連載講座

光ファイバー型赤外線輻射温度計の設計製作から計測まで(6)
2色温度計の製作

金沢大学 名誉教授
上田隆司

応用力学基礎講座(11)
弾性理論への入門 ―熱応力と粘性―

慶應義塾大学 名誉教授
棚橋隆彦

自然環境と再生可能エネルギー(5)
太陽光発電と小水力発電の電気機器

元産業技術総合研究所 福島再生可能エネルギー研究所
小西博雄

カルマンフィルタとその周辺および応用(18)
カルマンフィルタの初期条件の誤りによる誤差共分散行列

立命館大学 名誉教授
杉本末雄

大阪大学大学院工学研究科 特任准教授
和田光代

生体機械工学(2)
細胞分別用流路底面マイクロ溝

工学院大学 工学部 機械工学科 教授
橋本成広

特別講座:機械系大学院入試問題演習

(40)材料力学:早稲田大学2022年夏季実施より

神奈川大学 名誉教授
伊藤勝悦

コラム:一杯のコーヒーから(201)

日本とアメリカ

元 Consulting Prof., Stanford Univ
慶應義塾大学 顧問
福田収一

工学・工業界ニュース

説明

巻頭記事
「非線形超音波法を用いたき裂評価における分調波発生現象の数値シミュレーション」

構造物や機械の安全な運用のためには非破壊検査は重要であり、破壊力学の観点から金属材料中のき裂深さの正確な計測が望まれる。疲労き裂や応力腐食割れによる不連続界面は残留応力の影響によって閉じた状態となっている場合がある。

超音波を用いた非破壊検査(超音波法)では母材ときずの音響インピーダンス差によって発生する散乱波を計測する。そのため、通常の超音波法を閉じたき裂に対して用いた場合、入射超音波の大部分が透過し散乱波はほとんど発生しないためき裂の検出やサイズ計測が困難である。そこで、閉じたき裂の検出やサイズ計測のため、接触音響非線形性(CAN:Contact Acoustic Nonlinearity)を利用した非線形超音波法の開発がなされており、有効な検査手法となることが期待されている。

CANを用いた非線形超音波法では、大振幅の入射超音波を閉じたき裂に照射することでき裂面を振動させて開閉口や摩擦をともなう滑りを誘発させる。その結果発生する非線形超音波とよばれる波を受信・解析することで き裂の評価をおこなう。非線形超音波とは、入射超音波の周波数\(f\)の整数倍\(nf\)の周波数成分をもつ波(高調波)と整数分の一\(f/n\)の周波数成分をもつ波(分調波)からなる波である。

本稿では、著者らが実施してきた非定常解析と定常解析でのき裂による分調波発生現象の再現、およびその発生機構を調べた内容を解説する。数式の煩雑さを避けるため、数値シミュレーション手法の説明は最低限に留める。数値シミュレーション手法の詳細に興味がある読者は著者らの論文を参照されたい。

東京工業大学 環境・社会理工学院 准教授
丸山泰蔵

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