目次
連載講座
カルマンフィルタとその周辺および応用(6)
確率統計の基礎知識(5)
立命館大学 名誉教授
杉本末雄
植物の葉や花に関する力学的研究(7)
ユリの蕾構造に関する力学的考察
(株)衝撃工学研究所 執行役員
大阪大学 名誉教授
小林秀敏
脱炭素社会を実現するための材料複合化技術(10)
炭素繊維強化プラスチック(CFRP) その1
一般財団法人 航空宇宙技術振興財団 評議員
伊藤義康
機械構造用金属材料の超高サイクル疲労(47)
6. VHCF-2~VHCF-4の10年間の研究動向(27)
立命館大学 名誉教授
酒井達雄
新しいエネルギー基本計画と近年の台風災害の考察(6)
2019年台風の電力系統の被害状況と電気事業法の改正
国立研究開発法人 産業技術総合研究所(AIST)
福島再生可能エネルギー研究所(FREA)
小西博雄
コラム:一杯のコーヒーから(189)
日本とアメリカ,ヨーロッパ
Stanford University visiting professor
慶應義塾大学 顧問
福田収一
特別講座:機械系大学院入試問題演習
(24)材料力学:神戸大学2021年夏季実施より
宮崎大学 工学教育研究部 教授
河村隆介
(25)機械力学:神戸大学2021年夏季実施より
神奈川大学 名誉教授
伊藤勝悦
歴史に学ぶ「機械の研究」
工学・工業界ニュース
説明
記事ピックアップ
巻頭記事「カルマン フィルタとその周辺および応用(本講座の今後の予定)」
以上で、カルマンフィルタの導出と応用に必要となる確率統計学の基礎について講述した。したがって、ただちに、カルマンフィルタの導出をおこなうことが可能な状況に達したので、次号からは、カルマンフィルタの導出に進路を向けることにする。
ところで、確率統計学は、工学、理学、また社会科学についても、重要な知見を与える学問である。この観点から推定理論についての基礎事項を講述した。しかし、常に統計学的 「推定と検定」といわれ、「推定」とのペアとなる「統計学的検定」の考え方は、われわれの日常行動に大変重要な指針を与える学問である。
本講座では「統計学的検定」については、カルマンフィルタの周辺として、再度機会を捉え、講述する予定である。
統計の見つめ方について、古い時代(私の学生時代)に、「統計でウソをつく法」(How to Lie with Statistics, by Darrell Huff, 1954)という書物が話題になったことがあり、さまざまな形での、統計データを用いた「ウソ」が指摘されている。「ウソ」ではないが、現在でも、マスメディアで報道される「比率」に関する報道では、報道での「比率」を求めるために用いた、「サンプルサイズ」が付記されていないことが非常に多い。
このことは、本講座での「母比率」の「区間推定」、「信頼区間」(p.689–690)で示したように、「サンプルサイズ」は、報道された「母比率」がどの程度、信頼できるかどうかを計算するための重要な数値であるが、これを重視しない、報道の風潮は憂慮すべきことである。これらの風潮(認識)は、理系・文系に関わらず「統計学」の基礎を学んでおくことが大変重要であることを示唆している。
立命館大学 名誉教授
杉本末雄
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