目次
展望・総説・総論
ランダム配向フィラーを含む分散系複合材料の巨視的物性のマイクロメカニックス解析(1)
均質化理論にもとづく巨視的物性の解
京都工芸繊維大学 機械工学系 助教
小野裕之
深層強化学習を用いた流体機械の形状改善・流体制御
大阪大学大学院 工学研究科機械 工学専攻 助教
岡林希依
複合材料の力学入門(14)
拓殖大学 名誉教授
笠野英秋
ワイドギャップ球面クウェット流におけるスパイラル状態の可視化
関西大学 理工学研究科 システム理工学専攻
物理・応用物理学分野 修士課程
荒井一心
関西大学 システム理工学部
物理・応用物理学科 教授
板野智昭
関西大学 システム理工学部
物理・応用物理学科教授
関眞佐子
炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の切削における繊維方向と切削面性状との関係
日本工業大学 機械工学科 教授
神 雅彦
連載講座
生体機械工学(19)
微小振動電極による生体組織の局所メカトロニック特性の測定
工学院大学 工学部 機械工学科 名誉教授
橋本成広
カルマンフィルタとその周辺および応用(32)
非線形カルマンフィルタ(5)―情報行列(2)
大阪大学 大学院 工学研究科 特任准教授
和田光代
立命館大学理工学部 名誉教授
杉本末雄
特別講座:機械系大学院入試問題演習
(60)「機械力学:早稲田大学2024年夏季実施より」
神奈川大学 名誉教授
伊藤勝悦
歴史に学ぶ「機械の研究」
第36巻 第1,2号 「知能機械の開発と応用」より
編集部
新刊紹介
今里健一郎 太田淳
出版社:秀和システム
定価:2,000円+税
発売日:2024年11月23日
ISBN:978-4-7980-7390-3
臼田,昭司,1945-
出版社:森北出版
定価:2,400円+税
発売日:2024年5月30日
ISBN:978-4-627-73701-3
工学・工業界ニュース
説明
巻頭記事
ランダム配向フィラーを含む分散系複合材料の巨視的物性のマイクロメカニックス解析(1)
「均質化理論にもとづく巨視的物性の解」
複合材料は、フィラーの形態という観点から、積層複合材料と分散系複合材料の2つに分類できる。前者はガラス繊維やカーボン繊維などの織物を、後者は粒子、短繊維、フレークなどのフィラーを母材となる樹脂や金属に含浸させたものである。
著者はこれまでに分散系複合材料の巨視的な物理特性に対するマイクロメカニックス解析をおこなってきた。物理特性としては、弾性特性(弾性定数、線膨張係数)や熱電磁気特性(熱伝導率、電気伝導度、誘電率、透磁率)がある。これらの特性は、フィラーの物理特性、形状、体積含有率および配向分布によって影響を受ける。これらの微視的構造因子と材料の巨視的挙動を橋渡しする学問がマイクロメカニックスである。
積層複合材料はすでに航空機や高速鉄道に使用されており、近年は市販車の車体構造にも使用されている。しかしながら、プリプレグシートの積層作業、オートクレーブ内での真空成型と加熱硬化など、製造プロセスが複雑であることから、生産コストが高くなり、大量生産のための完全自動化が困難という問題がある。一方、分散系複合材料は、フィラーを樹脂に含浸させた中間素材(SMCやBMC)を金型で加熱・加圧、あるいは射出成形によって、短時間かつ大量に作製可能である。それゆえに、分散系複合材料はプーリーや歯車などの機械部品に加えて、近年は自動車のパネル材にも使用されており、その応用範囲は拡大しつつある。
これらの複合材料の設計においては、試作前に近似式やFEM解析を使って材料の物性を予測しておくことは、コスト削減や効率化のために重要となってきている。特に構造の複雑な分散系複合材料については、企業の技術者がハンドリングしやすい形で扱うことのできる一般的で汎用性のある設計ツールが求められている。
そこで、近年著者がおこなってきた「ランダム配向するフィラーを含む分散系複合材料の巨視的物性」に関する研究を取り上げ、これを2回にわけて解説する。第1回は巨視的物性の理論解、第2回は著者が開発したFEM解析のための簡易離散分布モデルの生成法(正多面体配向法)とその応用例について紹介する。
京都工芸繊維大学 機械工学系 助教
小野裕之
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