目次
展望・総説・総論
原子間相互作用と摩擦(1)
異種金属間の摩擦係数
東京農工大学大学院 工学府 機械システム工学専攻 教授
安藤泰久
複合材料の力学入門(11)
拓殖大学 名誉教授
笠野英秋
連載講座
機械構造用金属材料の超高サイクル疲労(64)
立命館大学 名誉教授
酒井達雄
自然環境と再生可能エネルギー(追補1)
太陽光発電26年の検証と発電量予測およびペロブスカイトへの期待
明治大学 再生可能エネルギー研究インスティテュート
飛田春雄
カルマンフィルタとその周辺および応用(29)
非線形カルマンフィルタ(2)―等価線形化法(1)
立命館大学理工学部 名誉教授
杉本末雄
大阪大学 大学院 工学研究科 特任准教授
和田光代
生体機械工学(16)
部分的破断と赤血球変形
工学院大学 工学部 機械工学科 教授
橋本成広
一杯のコーヒーから(213)
社会デザイン11―Simple Societyの時代
元Consulting Prof., Stanford Univ
慶應義塾大学 (顧問)
福田収一
特別講座:機械系大学院入試問題演習
(56)「機械力学:東京大学2023年夏季実施より」
神奈川大学 名誉教授
伊藤勝悦
歴史に学ぶ「機械の研究」
第9巻 第1号 特集 「機械製作管理」 より
編集部
新刊紹介
大髙敏男
出版社:秀和システム
定価:1,900円+税
発売日:2024年10月31日
ISBN:978-4-7980-7286-9
塚本,公秀 山中,昇 瀬川,裕二 東,雄一
出版社:森北出版
定価:2,600円+税
発売日:2024年11月22日
ISBN:978-4-627-67541-4
工学・工業界ニュース
説明
巻頭記事
原子間相互作用と摩擦(1)「異種金属間の摩擦係数」
機械を設計する際には、摩擦や摩耗を低減するために、摺動部には潤滑油を用いることを前提とすることが多い。潤滑油の粘度や添加剤を適当に選択することで、摩擦係数を低く抑えることができる。一方、真空中や高温など潤滑油が使えない場合には、固体潤滑剤膜が適用される。しかし、流体動圧によって生じる潤滑油膜、あるいは境界潤滑膜が荷重を保持できないような高い接触応力にさらされる条件や、潤滑剤被膜が剥離したり摩耗したりすると、母材の材料の組み合わせが、摩擦係数に影響を与えることが予想される。また、人の手で動かされるような、摺動される頻度が低い機構では、無潤滑で摩擦されることもある。このようなときにも、摩擦係数は摩擦される材料の組み合わせによって異なる。
したがって、どのような金属を組み合わせれば、低い摩擦係数が得られるのか、あるいは摩擦係数が高くなってしまうのか、その指針があれば摺動部に使用する材料を選定する際に、一助となるだろう。
本稿では、金属同士が無潤滑条件で摩擦されるとき、何が摩擦係数を決定するかについて、著者が中心となっておこなった研究をベースとして解説する。まず、摩擦係数を支配する因子の特定が困難な理由として、金属の表面には酸化膜や吸着した水分子や有機分子があること、また摩擦中により素性変形や摩擦熱が発生することを指摘し、それらの影響を排除するために、真空、低荷重、低速での摩擦試験が必要になることを述べる。そのような試験をおこなうことによって、金属結晶の格子定数、あるいは原子間隔が、摩擦係数を支配する重要な因子であることが明らかになった。
東京農工大学大学院 工学府 機械システム工学専攻 教授
安藤泰久
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