設計の科学 価値づくり設計

1,980 (税込)

日本では,設計・生産技術者は,上流の製品企画から降りてきた仕様を忠実に具現化する能力が重んじられてきた。欧米では技術屋にも「価値の原点」を理解することが要求されていると思う。このような思想から,スタンフォード大学で「価値づくり・ものづくり」の講座を引き継ぎ14年になる。このような「価値づくり・ものづくり」に関する論理的・系統的手法をまとめたものを日本の技術者に広めたく,共著者の飯野氏と本稿を書き上げた次第である。今後,グローバルに活躍し,価値づくりを通じて社会に貢献し続ける日本の設計・生産技術者にお薦めいたします。

在庫あり

判型 A5判
第1版
ページ数 109
発行日 2008/04/14
ISBN-13 978-4-8425-0434-6 C3053
ISBN-10 4-8425-0434-x
JAN 1923053018008
図書館: カーリル
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目次

プロローグ
第1章 プロジェクトを成功に導く価値づくり設計入門
 1.1 価値づくり設計入門
 1.1.1 何を学ぼうとしているのか
 1.1.2 価値づくり設計に関する最近の開発
 1.1.3 価値づくり設計が答えを導く
 1.2 価値づくり設計による製品開発プロセスのロードマップ
 1.2.1 背  景
 1.2.2 製品開発のコンカレントプロセスの基礎
 1.2.3 本書の内容
 1.2.4 考  察
 1.3 顧客価値連鎖分析(CVCA)
 1.3.1 顧客価値連鎖分析の必要性と誕生
 1.3.2 CVCAの基本的手順
 1.3.3 CVCAの例
第2章 競争に勝つための価値の認識と機能解析
 2.1 価値工学概要
 2.2 VEと製品開発サイクル
 2.3 価値の同定と要求機能の定義
 2.4 ブレーンストーミング法の利用
 2.5 機能解析の手法
第3章 顧客の声を有効利用する品質機能展開
 3.1 顧客の声
 3.1.1 顧客は誰か?
 3.1.2 顧客を理解する
 3.2 品質機能展開(QFD)
 3.2.1 品質機能展開の背景
 3.2.2 QFDの目的と構造
 3.2.3 QFDの実際―フェーズⅠ
 3.2.4 品質機能展開の実際―フェーズⅡ
 3.2.5 QFDの実際―フェーズⅢ,Ⅳ
 3.2.6 製品ベンチマーク
 3.2.7 QFDの品質
第4章 製品定義―設計を成功させる要因
 4.1 はじめに
 4.2 設計者と技術者の最前線
 4.3 製品定義の役割
 4.4 プロジェクト優先マトリックス
 4.5 設計者はどうすればよいか
 4.6 製品定義アセスメントチェックリスト
第5章 製品のコスト,価値,そしてそれらから生まれる利益
 5.1 ライフサイクルコストと機能価値
 5.2 コスト解析
 5.3 パレートの法則
 5.4 コストワース比
第6章 複雑系設計をどう扱うか
 6.1 複雑系設計とは何か
 6.2 製品ライフサイクル評価の指標
 6.3 DFAの基本的考え方
 6.3.1 部品点数
 6.3.2 扱いやすさ
 6.3.3 組付け
 6.4 組立性の定量的評価
 6.5 製造性設計
 6.5.1 射出成形の概略
 6.5.2 材料の選定
 6.5.3 形状に関する注意
 6.5.4 射出成形工程のコスト計算
 6.5.5 製造性設計のまとめ
 6.6 その他の複雑系設計
 6.6.1 保守性のための設計
 6.6.2 サプライチェーンのための設計
第7章 スコアカード法-製品の成否を見極める
 7.1 スコアカード法とは何か
 7.2 製品開発のためのスコアカード法
 7.2.1 事業レベルの例:学校用マルチメディアプロジェクタ
 7.2.2 サブアセンブリレベルの例:マルチメディアプロジェクタ用光学レンズ枠最適化
 7.2.3 製品プラットフォームの例:ワークステーションシャーシの共通化
 7.3 スコアカード法適用のキー
 7.4 正味現在価値計算の実際
エピローグ:これからの価値づくり設計
 E.1 多分野での新規価値を生み出す革新
 E.2 無定形製品パーソナル化の動向
 E.3 グローバルサプライチェーン上の製品構造とプラットフォーム設計
参考文献
あとがき
索引

説明

この本は価値づくり,ものづくりに関する論理的・系統的手法をまとめたものである.というと堅苦しく聞こえる.いまから振り返ると,共筆者の一人,石井の25年前に所属した某重電メーカーでの設計経験が源流だといえる.発電制御,特に当時,発電システムへの付加価値として注目されていた計算機応用に従事していたが,設計プロセスがきわめてあいまいで後戻りややり直しが多かった.会社トップからの納期厳守の指示のもと,残業,残業で何とか出荷した.しかし現地での品質トラブル続出で工場つき設計者たち(石井ら)が客先で人質 にとられ,何カ月もかけて何とか運転開始にこぎつける.そのような経験を繰り返すうちに,「もっとかっこよく設計を進め,お客様にスムーズに価値をお届けできる仕掛けは無いのか?」と思うようになった.中でも,幾多のプロジェクトで気がついたのは,設計仕様に真の価値が反映されていない場合が多いことである.「顧客とは誰なのか?(エンドユーザーだけではない)」,「それぞれの客に対しての価値の構造とは?(何が役に立つのか)」,「自社,自分の開発した新技術(たとえば計算機制御)でどのように価値を社会に届けられるのか?」,そして「その価値づくりに対してどのような報酬を受け,それをさらなる価値創造に繋げられるか?(ビジネスモデル)」特に日本では,設計・生産技術者は,上流の製品企画から降りてきた仕様を忠実に具現化する能力が重んじられてきた.欧米では技術屋にも上記の「価値の原点」を理解することが要求されていると思う.このような思想から,スタンフォード大学で師匠の故Philip Barkan教授が始められた「価値づくり・ものづくり」の講座を引き継ぎ14年になる.しかし,スタンフォードの講座を受講できる人は限られている.このような考え方を日本の技術者に広めたく,共著者の飯野氏(私と同じくスタンフォードで博士号取得)と本稿を書き上げた次第である.今後,日本の設計・生産技術者がグローバルに活躍し,価値づくりを通じて社会に貢献するために,わずかながらでもご参考になればと願っている.

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