目次
第Ⅰ部 非圧縮流れの数値計算法
第1章 流れの数値シミュレーション
第2章 移流拡散方程式の差分解法
第3章 非圧縮流れの数値計算法
第4章 一般座標系での流れの計算法
第Ⅱ部 乱流の数値シミュレーション
第5章 乱流の数値シミュレーション
第6章 レイノルズ平均流れの数値計算
第7章 ラージエディシミュレーション(LES)
第Ⅲ部 付録
付録A 一般座標系
付録B 流れ場のフーリエ解析
参考文献・索 引
4,400円 (税込)
在庫あり
第1章 流れの数値シミュレーション
第2章 移流拡散方程式の差分解法
第3章 非圧縮流れの数値計算法
第4章 一般座標系での流れの計算法
第5章 乱流の数値シミュレーション
第6章 レイノルズ平均流れの数値計算
第7章 ラージエディシミュレーション(LES)
付録A 一般座標系
付録B 流れ場のフーリエ解析
参考文献・索 引
第1版を出版してから15年が経過しようとしている。この間、乱流の数値シミュレーションが成熟しつつある分野もあれば、ようやく本格的に乱流を考慮する段階にさしかかった分野もある。後者の代表例としては、多相流や多成分系の流れ、あるいは流体と構造の相互作用問題がある。成熟期にあるとみられる分野においても、扱う問題の大規模化・複雑化はとどまる気配がない。もちろん、2002年に運用を開始した地球シミュレーター、2012年に完成した京コンピューターに代表される計算機環境は飛躍的に拡張している。しかし、乱流をはじめとして無限自由度と言ってもよい非線形現象を扱うためには十分とはいえない。したがって、単に計算機の発展を待つのではなく、新たな課題に対応できる計算方法や物理モデルの開発は不可欠である。
単成分・単相の流体の運動に関する限り、数値計算法と乱流モデルについては、着実な進展は見られるものの、第1版を全面的に改めなければならない革新的は変化は見当たらない。しかし、計算力学を取り巻く社会的環境には大きな動きがあった。2011年の東北地方太平洋沖地震にともなう大規模津波と原子力発電所事故は、防災の観点から、予測技術としての数値シミュレーションの意義を認識させた。また、それ以前より、製造業の現場では数値シミュレーションの役割が高まっており、日本機械学会が2003年に計算力学技術者の認定事業を始めている。以上の状況下、新たに数値計算の技術修得を目指す人、新たな適用範囲の開拓を意図する人のために、入門書を更新しておく時期であると考えた次第である。
改訂に際しては、便覧的な列挙ではなく、著者が標準的と考える方法の解説を中心に、それを読者が自ら発展させるために必要な周辺知識を加えるという第1版の方針を維持しつつ、近年の乱流モデルの使用頻度を考慮していくらかの項目を差し替えた。レイノルズ平均モデルについては、いくつかの渦粘性モデルの特徴と各モデル間の関係を加筆した。ラージエディシミュレーションに関しては、第1版の執筆当時に盛んに研究されていたダイナミック手法については標準的なものだけを残し、必ずしもダイナミック手法でなくてもよいという考えから、乱流渦構造を考慮したモデルを新たに採択した。
ときどき、計算することを解析すると表現する技術者に出会うことがある。しかし、計算そのものは作業にすぎない。むしろ、計算に取りかかる前の「対象の解析」と、データを得た後の「結果の解析」が技術者・研究者が行うべき本来の解析である。万能の計算方法は存在しないので、解析目的や計算機環境によって最適な手段は異なるはずである。対象を徹底的に検討した結果、当面の課題が解決されたから、計算する必要がなくなったという状態が理想なのである。この本は、基本的な計算方法と乱流モデルを解説したものであるが、計算の前後の解析に対しても参考になれば幸甚である。
レビュー
レビューはまだありません。