日本の米作りは長期に渡り苦しい状況にある。消費量および価格の低迷、温暖化による収量の不安定化および食味の低下など、問題が山積している。また、食味向上を目的とした窒素施肥量の削減による収量の低下も起こっている。しかし、食味と収量性を両立させることこそが健全な米作りの本質である。生産コストの削減も考えると、増収は不可欠の課題である。温暖化の深刻化、国際市場における競争の激化など、日本の米作りは今後さらに厳しい状況に置かれると予想される。本書は栽培技術、育種学、植物生理学、植物形態学、食品科学など、各分野の第一人者による、米の食味に関する知見の集大成と言える。研究機関でも栽培現場でも広く有効である。
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