リスクベースメンテナンス入門
 ― RBM ―
 
 
 
日本学術振興会・産学連携第180委員会
「リスクベース設備管理」テキスト編集分科会編
 

■定価(本体3,000円+税)
■A5判 181頁
■発行年月  2017.03
■ISBN 978-4-8425-0557-2

 
 
■概略

リスクとは何か?といった基本を学び,RBMを適用するための手順を示す入門書。

 
 
■解説

 日本経済は1990年代にその停滞が始まり,今日(2017年)に至っている.すでに日本の鉄鋼備蓄量は13億トンを超え,成熟社会となり,更なる国内経済の著しい拡大は期待薄である.一方,この20余年の聞に産業資本,社会資本の損傷事例が顕在化してきた特に,21世紀に入り産業事故の急激な増大が認められたその原因のーっとして,メンテナンスの弱体化が挙げられる.2003年12月には経済産業省が「産業事故調査結果の中間取りまとめ」を発表し経営上の問題として看過し難いと喚起したまた,腐食防食学会は「材料と環境2003」での「経年プラントの信頼性維持管理一われわれは何をすべきか」シンポジウムを開催し今後の活動指針を示した.

 これらを受け,文部科学省の外郭団体である日本学術振興会(JSPS)は「化学プラントのリスクベース保全技術に関する先導的研究開発委員会」(2004.3〜2007.3:委員長酒井潤一)を設置し産学官の立場からの課題を明確にした.重要なことは,あたかも古く完成した技術と思われがちな「メンテナンス」が,今後の社会生活にとって極めて重要でその発展が期待される技術である,とJSPSが認識した点である.同委員会の提言を踏まえ,JSPSは新たに産学協力委員会「リスクベース設備管理第180委員会」(2007.4〜)を設立し産学それぞれ25名程度の委員構成で活動を開始した.

 JSPSの委員会がほかの委員会と異なる点は,業態を超え,学術的に貢献せんとするところにある.活動の主眼はリスクベースメンテナンス(RBM)を本邦に根付かせるための諸課題の提案・解決にある.これらの活動を通じ, RBMに関する理解度が低いこと,実際に取り組もうとするときに適当なテキストがないこと,などが判明した.このことを踏まえ,RBMの何たるか,どのように取り組むのか,といった,初心者向けのわかりやすいテキストがここに上梓されることになった次第である.

 このテキストを纏めるにあたり,たたき台として,すでに刊行されていた「リスク評価によるメンテナンス,RBM/RBI入門」(日本プラントメンテナンス協会)を,著者の木原重光氏,富士彰夫氏のご快諾の下,参考にさせて頂いた執筆者を代表し感謝する.ここに新たに出版された「リスクベースメンテナンス入門−RBM −」は目次をご一覧して頂ければわかるように,RBMとは何か?RBMのメリットは?世界の動向は?と展開し,極めてわかりやすく導入されている.さらに,リスクとは何か?といった基本を学び,次いで,実際にRBMを適用するための手順が示されている.読者のレベルに合わせた理解が可能であるとともに,次のステップへのガイドも示されている元々,RBMはAPIなどの石油産業組織を母体として発展してきた従って,適用範囲,事例などが石油産業に偏っており,他の産業分野では具体的な取り組み方法が定かで、なかった第5章は石油産業に加え,鉄鋼,通信,運輸,機械,エネルギー,各種構造物,社会インフラなどの各種業態へのRBM適用事例を紹介している.

 これらを参考にすれば,個別業態への取り組み方法がイメージできると期待している.本書のもう一つの特徴は,第6章に「Q&A」を設け,諸学者が持つであろう疑問に丁寧に答えている点である.ここにRBMの理解に必要な背景が述べられている.場合によっては,これら第5,6章から読み始めるのも,よりよい理解に繋がり,導入に当たっての決断を容易にするものと考える.JSPS180委員会では,今後,「影響度評価」「損傷可能性」といった各分科会の活動に沿った内容についても出版していく予定である.

 
 
■要目
[目 次]

 第1章 リスクベースメンテナンス(RBM)とは?

 第2章 RBMが必要とされるわけ

 第3章 RBMの基本的な考え方

 第4章 RBMを実際に行うための方法

 第5章 RBMの適用事例

 第6章 Q&A

 第7章 将来展望(近未来に向けた検討課題)

 索  引