エンジニアになるための初級工学練習帳
 
 
 
高橋 宏・本多博彦・牧 紀子 共著
 
 

■本体価格 2,000円
■B5判 116頁
■発行年月  2015.11
■ISBN 978-4-8425-0540-4

 
 
■概略

本書は、新人エンジニアの為の,「知識」だけでなく,「知識の使い方」をトレーニングできる教科書..

 
■解説
 大学を卒業し,会社に就職した新入社員がよくこんな話をしているのを耳にします.「大学で勉強したことだけでは,うまく仕事ができない.」とか,「解決しなければならない問題はわかっているつもりだが,そのためにどのような課題を設定して,どのような方法でその課題を解決していくのか,うまくイメージできない.」など新入社員らしい印象なのかもしれません.大学では,重要な知識をたくさん学びますが,それ等の知識を用いて世の中にある多様な問題を解決しようとすると,なかなか一筋縄ではいかないことに気づきます.大学で勉強した理論やケーススタディを実際の場面に適用したくても,条件が微妙に異なり,うまく適応できない場合や,理論通りに計算しても実際の現象と異なってしまうことなど多数あると思います.これらの悩みは,専門分野で経験を積むことでどのように対応していけばよいかを少しずつ体得し,自分なりの方法で解決策を見つけながら一流のエンジニアに育っていくのだと思います.また,多様な現象として現れる諸問題を整理して,何が重要な問題であり,その問題が起こる構造を明確に把握することも問題解決のための重要な視点だと思います.

 つまり,現象に対する公式,分析・解析の方法,問題解決のアプローチといった「必要な知識」や「典型的な解決策に関する定石」を知るだけでなく,この場面では,この知識,この場面では,この知識というように,「知識の使い方」を知らないとなかなか知識が役に立たないのです.現実に起こる問題は,大変複雑であり,単純化された理論では太刀打ちできません.それができるようになるのが,経験なのかもしれません.  このような卒業生や新人エンジニアの声や自分たちの経験を通して,「知識」だけでなく,「知識の使い方」をトレーニングできる教科書を考えました.学校で習う知識をいかに総動員して,多様な問題の解答を見つけるスキルを身に付けるための練習帳です.問題の解答はズバリ正解でないかもしれません.また,ズバリという正解がない問題かもしれません.しかし,何が問題であるかがわからないお手上げの状況から近似解が得られる状況に代わることができれば,そこを手がかりにしてより正解(近似解)に近づくことができるのです.

 この練習帳で扱う技術分野は,機械系・電気系・情報系が中心ですが,扱う問題はどれも簡単な初歩的な問題です.必要なのは,「専門知識」ではなく,「知識を使う力」です.もっとわかりやすくいえば,「問題が何かをイメージでき,その問題にどのように立ち向かえば,解決に近づくのか」を考えるため力を養うための日常的な平易な問題を用意しました.本書では,「知識の使い方」を,以下の6つのカテゴリーに分類しました.

 1)先入観にとらわれず,現象を正しく見極められる力
 2)観察される現象から原因と結果の関係を分析・類推できる力
 3)図,アナロジー,簡略化などにより真実を理解できる力
 4)データに基づき客観的に分析・判断できる力
 5)観察したものや考え方を的確に説明・記述できる力
 6)知識を活用し,現実的な値や形を決定できる力

 一般的に,どんな分野でもエンジニアとして活躍するためには,「現象を観察する力」「現象を分析する力」「現象を数量化する力」そして,「総合的に判断する力」が必要であると多くの書にかかれています.また,会社という組織の一員として活躍するためには,自分の成果や努力を正確に周りの人たちに伝達できる「コミュニケーション力」も必要でしょう.こうしたいろいろな力を考えてみると,上記に分類した6つが特に重要であると考えました.まず,科学的な視点として,「先入観を持たないで正しく対象を見極められること.」自分ではやがてんをして結論を決めつけてはいけません.そして,現状をよく観察してシステム(原因と結果)を明確に定義できる力が重要です.そのためには,「観察される現象から原因と結果の関係を分析・類推できる力」が重要になってきます.また,良く知らない知識を獲得したり,複雑な問題を把握するために「図,アナロジー,簡略化などにより真実を理解できる力」が必要になります.世の中の現象は非常に複雑ですが,その中で何が1番影響しているのかを正確に見極めるときなどに,重要な力のよりどころとなります.そして,やはり,科学的に現象を把握する力,数値による分析やグラフから必要なデータを読みだしたり,答えを得るために自分でグラフを作ったりする力が大事になります.それが,「データに基づき客観的に分析・判断できる力」です.また,先述したように,チームワークで仕事をする場合,あるいは,自分の作業経緯や成果を他人に伝えたりする場合,コミュニケーション力も重要です.この本では,「観察したものや考え方を的確に説明・記述できる力」としていくつかの練習を用意しました.そして,最後に,工学の本質は,いろいろな検討結果を実際の目に見えるものにして初めて完成するわけです.そこで,もの作りのために最終的な設計値に落とし込める力が必要となります.それが,「知識を活用し,現実的な値や形を決定できる力 」です.
 
 
■要目
[目 次]

 ■ この本の特徴

 ■ この本の使い方

 1.「先入観にとらわれず,現象を正しく見極められる力」を養う練習問題

 2.「観察される現象から原因と結果の関係を分析・類推できる力」を養う練習問題

 3.「図,アナロジー,簡略化などにより真実を理解できる力」を養う練習問題

 4.「データに基づき客観的に分析・判断できる力」を養う練習問題

 5.「観察したものや考え方を的確に説明・記述できる力」を養う練習問題

 6.「知識を活用し,現実的な値や形を決定できる力」を養う練習問題

 ■ 最後に

 ■ 解答のヒント

 ■ 著者紹介