カエルはお腹で水を飲む?
-カエルの皮膚-その意外な役割
 
 
 
長井孝紀 著
 
 電子版はこちら
 

■定価 (本体価格 1,800円)
■A5判 140頁
■発行年月  2015.03
■ISBN 978-4-8425-0533-6

 
 
■概略

カエルの一風変わった水の飲み方などの生態を紹介.

 
 
■解説

 私は乾燥地帯にすむカエルの皮膚には、味覚によく似た感覚機能があることを見つけ、学術論文として発表した。これを専門家ではない人たちに説明するためには、カエルが皮膚を使って塩味をどう区別するかよりも前に、「カエルがどのようにして水を飲むか《の解説からしなければいけないことに気づき、本書執筆のきっかけとなった。  そこで1章は、カエルが皮膚を介して水を吸収することを1785年に初めて論文にしたタウンソンの紹介から始めた。こんなに古い文献を読むのは、私にとって初めてであったし、この論文自体、わが国の研究者の目にも触れていなかったと思われる。そのためタウンソンに関する日本語の文献は皆無であったが、幸いデンマークのヨーゲンセン(Jørgensen, C. B. , 1997)がタウンソンの研究について紹介していたので、本書でも大いに参考にしたことを断っておきたい。しかしヨーゲンセンはタウンソンの研究の流れを詳細に追ってはいるのだが、アクアポリンという新しい機能を持つタンパク質に全く注目していないので、4章以降で解説を加えることとした。こうして皮膚を介して水を飲む仕組みに半分以上を費やし、6章、7章においてようやく本題の「皮膚にある味覚に似た感覚機能《について説明することができた。これも18世紀の研究が最先端の研究につながっていることを理解していただけるよう、工夫したポイントの一つである。  本書の記述のうち、カエルの一風変わった水の飲み方など生態に関連する部分はだれにでも気楽に読んでいただけたと思うが、細胞膜を介する水やイオンの輸送のメカニズムなど生理学的な説明は難しく感じられたことだろう。特に最終章での研究の具体的記述は、読者諸氏にとって難解であったかもしれないが、一つ一つ段階を踏んで記述しないと、研究者の苦労を理解していただけないと考えた末の結果である。また各章の記述でも難易度の落差が大きく、全体の筋が読めないなどという批判を草稿の段階でいただいたこともあった。それらの指摘をできるだけ修正しての上梓となったが、うまく改善できたかは、読者の声を待ちたいと思う。  本書がこれから生命科学に携わる多くの学生たちをはじめ、研究者の目に触れて、自然科学の持つ研究の連続性を考えるきっかけになることを願う。

 
 
■要目
[目 次]

まえがき

 1.蛙はお腹で水を飲む

 2.水を巡るカエルの生存戦略

 3.カエルはお腹でどうして水が飲めるのか

 4.水を通す分子とノーベル賞

 5.カエルの環境とアクアポリン

 6.砂漠のヒキガエル

 7.カエルの皮膚:もう一つの働き

 あとがき・引用文献・索  引