近代化が進む世界の航空管制
─ 一段上の安全と効率を目指す ─
 
 
 
園山 耕司 著
 
品切れ再版未定
 

■定価 (2,600円+税)
■A5判 214頁
■別途送料がかかります。送料はお問い合わせ下さい
■発行年月  2009.07
■ISBN 978-4-8425-0453-7

 
 
■概略

世界と日本の航空管制の現状を概観し、わが国の航空行政の転換や技術革新にも興味深く解説。

 
 
■解説

 航空機の利用は鉄道、車と並んですっかり人間の生活の一部となってきました。いつのまにか航空に関する知識や行動は航空従事者の独占ではなくて、航空に関心をもつ人と共有するものとなってきました。
 航空に趣味をもつ人の範囲も広がり、模型づくり、写真撮影、イベント参加から航空機の操縦に至るまで多種多様です。中でも、近年きわだって趣味人口を増やしているのが受信機やコンピューター技術を利用したハイテク航空ファンです。彼らが求める究極目標は航空機運航の再現です。つまり、必要なのは単なる航空や航空機に関する知識だけでなく、航空機の飛行態様、航空機運航の仕組み、またこれを支援する航空管制の実体などです。
 しかし、依然としてゲージのミニパーツを駆使して実物顔負けの模型づくりやラジコンの操作飛行も静かなブームです。航空イベントやコンテストもその種類を増し、開催される内容も鳥人間コンテストのように実用を超えた人間の願望を表現するものも現れてきました。そして、これらの趣味人やファンは生活の豊かさとともに、時と場所を選ばず、世界的広がりを見せています。
 パイロットや管制官などの航空従事者を航空人というなら、彼らも趣味に生きる立派な航空人です。本書は、これらの人たちのために何かお役にたてるものはないかと考えたのがことの始まりです。
航空界は、21世紀に入って従来のやり方から衛星を利用する技術を取り込んで、飛行の自由を獲得しようという革命期を迎えています。いい換えれば、より願望の自由、時間の短縮と経済性を得るだけでなく、温暖化対策にも貢献しようというのです。
 近年、産業界の要望は、環境問題やその時代の経済動向を反映して航空機運航に厳しい要求を課しつつあります。特に、このところのかつてない世界規模の経済危機は、航空機運航の採算性をめぐって燃料費節減や快適性などが航空会社そのものの存立に関わる問題になってきつつあります。
 一方、航空趣味人の願望も、仮想的なものと併行してより現実的かつ利便的なものへと深さを増しています。わが国の航空行政も、米国を発進源として変わりつつある世界の情勢に対応すべく連日のようにこれまでの方法や基準を見直し、新体制の整備に取り組んでいます。このような時期にあって、少しでもこの技術革新の方向と方法の内容を伝えることは、その道にある者の役割といえるかも知れません。
 しかし、そこには安全と効率という二律背反的な対立の構図があり、21世紀の世界の航空管制はこれを大幅に改善するため最前線で問題点に取り組んでいます。航空人だけでなく、多くの方々がこの書を読んで、少しでもその辺の事情を理解するのに参考になれば筆者の望外の喜びです。なお、航空管制は英文略語が多いので、巻末の解説を利用して頂ければ幸いです。

 
 
■要目

[主要目次]

第1部 航空ファンとの問答集
 
 序 章 効率と安全の追究
  1 章 登場人物
  1.21世紀の航空人
  2.出演者のプロフィル
  3.パイロットAさんの国内移動をリスニング
  2 章 伊丹発函館行きビジネスジェット「Japan Piano201」
  1.エンジンスタート、クリアランス、タキシング、テイクオフ、クライム
  2.ヒューマンエラー
  3 章 パソコンでフライトリスニングを楽しめるか
  1.航空機の発信情報を利用する方法
  2.飛行計画書および移動情報を利用する方法
  3.レーダー管制情報を利用する方法
  4 章 ラジコンやハンググライダーに飛行規制はありますか
  1.法律による規制
  2.規制基準と飛行環境
  3.飛行空域規制の歴史
  5 章 航空に関する情報はどんなものがあって、簡単に入手できますか
  1.航空に関する情報
  2.航空情報
  6 章 携帯無線機と携帯パソコンで航空機を自動管制してみる
  1.プログラムの基本的な考え方
  2.誘導経路選択の方法
  3.プログラム作成の基本的な考え方
  4.情報の入力と検証
  5.航空管制自動化のあゆみ
  7 章 秩序のエネルギー源は「間隔」
  1.空での間隔とは
  2.間隔の増減がもたらすもの
  3.間隔の原理を一般化してみる
 
第2部 数字で見るヨーロッパ物語
 
  8 章 ヨーロッパの飛行環境
  9 章 航空管制を測るもの差し
  1.航空交通の物理量と単位
  2. 航空輸送を測る単位
 10 章 航空管制の力を測る
  1.大型システムの評価
  2.航空管制の目的
  3.航空管制の力を測る考え方
  4.利用されている測定値
 11 章 数字を通して見るヨーロッパ管制の実情 ─ 1
  1.ユーロコントロールの規模
  2.ユーロコントロールにおける航空交通の変化
  3.低コスト航空の増加
  4.ビジネス航空の状況
  5.ヨーロッパの航空交通の遅延
 12 章 数字を通して見るヨーロッパ管制の実情 ─ 2
  1.空域の複雑さを表す指標
  2.フライト−効率性
  3.遅延と延長距離のコスト
  4.ゲートトゥゲート航空航法業務コスト
  5.コスト−効率性
 13 章 数字を通して見るヨーロッパ管制の実情 ─ 3
  1.ユーロコントロールの航空事故減少への貢献
  2.民・軍共用空域の活用
  3.シングルユーロピアンスカイ(SES)実現の行程
 14 章 ターミナルレーダー管制所のゼロサム管制
  1.方法の根拠
  2.遅延ゼロサムの原理
 15 章 マックナンバーテクニックの物理
  1.淀み点温度
  2.マックナンバーテクニック
 16 章 21世紀の革命児「RNAV」
  1.RNAVを可能にした技術
  2.航空管制におけるRNAVの利用
 17 章 米国のフリーフライト構想は実現するでしょうか
  1.フリーフライトの概念
  2.フリーフライトの根拠となる技術
 18 章 緊急操作
 19 章 航空管制の問題点とこれからの改善の方向
  1.航空の世界的動向
  2.航空管制の問題点と改善の方向
  3.鉄道派ですか、飛行機派ですか
英文用語の解説
参考文献
索  引