鴎外の花暦(フルカラー)
 
 
 
青木 宏一郎 著
 
 

■定価 (2,000円+税)
■A5判 160頁
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■発行年月  2008.9
■ISBN 978-4-8425-0444-5

 
 
■概略

森鴎外の半生をかけて愛した花々を、『花暦』と日記などを通して綴る。

 
 
■解説

 陸軍軍医である森鴎外は、職業からみても『阿部一族』などの作品から想像しても、気むずかしい人であったように思える。が、実際はさにあらず。意外にも子煩悩で息子とその友達を引き連れて上野動物園に出かけたり、クリスマスツリーを囲んだり、ガーデニングにいそしんだり、という優しい心の持ち主だった。
 鴎外の趣味がガーデニングであったということは、一般にはあまり知られていない。だが、彼の書いた小説や戯曲、翻訳を読むと、かなりの花好きであったことがわかる。それらの作品には、珍しい花を含めてたくさんの植物が登場する。たとえば、『伊澤蘭軒』には百種を超える植物が記されている。また、『秋夕夢』にはミルツス(ギンバイカ)、『澀江抽齋』には柳(ギョリュウ)、『山椒太夫』には柞(カシやナラ類の古名)が使われている。鴎外は博識であったことから多種類の植物が登場すると思われるが、それだけではなく無類の花好きであった。
 自邸の庭には、とくに好んだといわれるナツツバキをはじめとして、グビジンソウ、サントオレア、キキョウ、クジャクソウ、ヒアシンス、マツバボタンなど色とりどり、百種を超える花が植えられていた。鴎外のガーデニング好きは、彼自身が書いた『花暦』と日記が証明している。それらを見ると、彼にとってガーデニングは趣味の一つであっただけでなく、多忙な日常にあって、心をなごませてくれる貴重な時間でもあったのだろう。
 鴎外がガーデニングを始めたのは、今から百年以上も前の明治二十五年のこと。以後、彼は大正十一年まで三十一年間の長きにわたって、花に囲まれた暮らしをまっとうした。鴎外の半生をかけて愛した花々を、『花暦』と日記などを通して紹介したい。

 
 
■要目

[主要目次]
はじめに
第一章 自筆の『花暦』
 『花暦』二つの不思議
 早春の花々
 ハクモクレンの開花に始まる四月
 アヤメやヤグルマソウの初夏
 沙羅の花が咲く六月
 花が咲き乱れる七月
 フヨウ、ヒマワリ、夏の花真っ盛り
 シオンが秋を告げる九月
 鴎外の愛した花を探る
第二章 日記の中の花暦
 花が恋人であった明治三十一年
 好きな花は変わらない
 執筆・ガーデニングに熱の入った大正二年
第三章 鴎外のガーデニング
 芭蕉二株から始まる庭づくり
 三百二十坪の庭をデザインする
 毛虫退治をした門から玄関までの庭
 沙羅の花が咲く主庭
 鴎外が最も愛した花畑
 愛娘・茉莉が見つけたパッパ≠フガーデン
 鴎外の父が写る夏の写真
 家族の思い出がいっぱいつまった東側の庭
 子供らが遊び、イタチが踊る中庭
 鴎外晩年のガーデニング
おわりに
主な引用参考文献
鴎外の庭に生育した植物