北里大学農医連携学術叢書 第4号
農と環境と健康に及ぼすカドミウムとヒ素の影響
 
 
 
陽 捷行 編著
 
 

■定価 (3,400円+税)
■A5判 182頁
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■発行年月  2008.9
■ISBN 978-4-8425-0440-7

 
 
■概略

食の安全性の視点からカドミウムとヒ素を中心に土壌・植物・臨床環境医学の問題を考察

 
 
■解説

わが国の近代医学と衛生行政の発展に多大な貢献を果たした北里柴三郎博士が、25歳のときに著した「医道論」(明治11年:1878)の最初の部分に、医道についての信念が次のように書かれています。「昔の人は、医は仁の術、また、大医は国を治すとは善いことをいう。医の真のあり方は、大衆に健康を保たせ安心して職に就かせて国を豊に強く発展させる事にある。人が養生法を知らないと身体を健康に保てず、健康でないと生活を満たせる訳がない・・・人民に健康法を説いて身体の大切さを知らせ、病を未然に防ぐのが医道の基本である。」
また、本学医学部開設当初に講演され、同学部の現在の講義科目「医学原論」においても縁の深い澤瀉久敬(おもだかひさゆき)博士は、彼の著書「医学概論とは」(誠信書房、1987)で概ね次のようなことを語っています。
医学とは何を研究するのか。生命の哲学ではない。医の倫理でもない(ただし、医学概論の一つではある)。医道論だけでもない。医学は、物理的な生命現象だけでなく精神現象も考慮する。単に自然科学とだけ考えるのではなく、社会科学でもなければならない。病気を治す学であり術である。病気の治療と予防に関する学問であるだけでなく、健康に関する学問でもある。これは、単に健康維持の学問であるばかりでなく、すすんで健康を増進する学問でもなければならない。
北里柴三郎博士と澤瀉久敬博士のこれらの著書は、医学は病気の治療・予防、健康の維持・増進、精神の面を含めて解決にあたるべき学問だと指摘しています。これを満足させるためには、人びとの生活の基である食(農)と環境を健全かつ安全に保つことがきわめて重要です。食と環境が健全でなければ、人びとの健康はありえないことが指摘されています。環境を通した農医連携の科学の必要性は、すでに先人によって説かれているのです。
生命科学のフロンティアをめざす北里大学では、このような観点から農学、環境、医学の分野が密接に連携し、先人が指摘した様々な問題、さらには現代社会が新たに直面している感染症、食の安全性、地球温暖化などの問題に、教育・研究の面から鋭意努力しています。
本書では、食の安全性の視点からカドミウムとヒ素を中心に、それらの挙動を生物地球化学、土壌、植物、臨床環境医学および法律の視点から追い、農医連携の科学を発展させるための一助にしたいと考えています。本書により、食と環境を通した健康の問題に対する新たな発想や示唆が生まれれば幸いです。

 
 
■要目

[主要目次]
『農と環境と健康に及ぼすカドミウムとヒ素の影響』発刊にあたって
第1章 重金属の生物地球化学的循環-カドミウムとヒ素を中心に
第2章 農耕地土壌の重金属汚染リスクとその対策
第3章 植物によるカドミウムとヒ素の集積と人への摂取
第4章 コーデックスの状況とわが国の取り組み
第5章 カドミウム摂取の生体影響評価-耐容摂取量推定の試み
第6章 コーデックス基準策定と食の安心・安全にまつわる戦い