改訂版 土の微生物学
 
 
 
服部 勉・宮下 清貴・齋藤 明広 共著
 
 

■定価 (2,800円+税)
■A5判 127頁
■別途送料がかかります。送料はお問い合わせ下さい
■発行年月  2008.5
■ISBN 978-4-8425-0436-0

 
 
■概略
初版(1996年)の発刊以来約10年、生命科学とその研究手法は急速なテンポで進歩しており、 土壌微生物の分野でも、新事実の発見、新しい研究手法の導入が続いております。改訂版では、執筆者 に若手新人を迎え、それぞれの分野での研究の進歩を取り入れ、章立てやタイトルで若干の変更、整理 を行うと同時に、内容を抜本的に見直し、刷新を試みました。地球環境に興味があり、土壌微生物につ いて学ぼうとされる方々に、本書をお薦めいたします。
 
 
■解説

本書は1966年に出版された「土と微生物」(土壌微生物研究会編、岩波書店)の視点を引き続き発展させる立場を維持してきました。初版(1996年)以来約10年、生命科学とその研究手法は急速なテンポで進歩しており、土壌微生物の分野でも、新事実の発見、新しい研究手法の導入が続いております。改訂版では、執筆者に若手新人を迎え、それぞれの分野での研究の進歩を取り入れると同時に、章立てやタイトルで若干の変更、整理を行うと同時に、内容の抜本的見直し、刷新を試みました。1章と2章のタイトルを変え、1章では分子系統学の成果をとりいれた微生物界の紹介に徹し、2章では微生物の生理について概観しました。3章では、ミクロ団粒の問題を新たに取り上げ、すみ場所論の強化をはかりました。4章と5章は入れ替え、内容の刷新、充実をはかりました。6章、7章のタイトルは変えず、内容の改定、充実に主眼をおきました。旧版の8章「遺伝子からみた土の微生物」は、分子生物学の衝撃が大きかった1990年代の状況に対応する過渡的なものでした。分子生物学的視点、手法が、土壌微生物学の古典的視点、手法と日常的に混在するようになった今日、特別扱いの8章は置かず、主要な内容は各章の関連部分の叙述に取り込むことが適当と考えました。将来、新旧の研究の流れがどのような発展の道をたどるか、その結果いかんによっては本書の章の立て方にも新しい要請が生まれると考えます。今回も引用文献をあげませんでしたが、本文にある著者名、発表年、または用語を用いた文献検索で、引用文献や参考となる最新の情報が得られるかと存じます。また今回あらたにコラム欄をもうけ、基礎的内容の補足、最近の研究話題の提供を行った。
 地球環境の重要な担い手である土壌微生物について学ぼうとされる方々に、本書がお役にたつことを願います。

 
 
■要目

[主要目次]

1。土の微生物
1.1 微小な細胞の生き物
1.2 土の微生物と系統分類
1.3 細菌
1.3.1 プロテオバクテリア
1.3.2 グラム陽性菌
1.3.3 シアノバクテリア
1.3.4 環境DNAの解析による土壌優占細菌
1.4 アーキー
1.4.1 クレンアーキオータ
1.4.2 ユリアーキオータ
1.4.3 コルアーキオータ
1.5 真核微生物
1.5.1 菌類、真菌類
1.5.2 粘菌類
1.5.3 原生動物
1.5.4 藻類
1.6 ウイルス、ファージ

2。微生物の増殖と飢餓または耐久
2.1 微生物の栄養
2.1.1 炭素源、窒素源
2.1.2 エネルギー源
2.1.3 生物間相互関係と微生物の栄養
2.2 微生物の増殖
2.2.1 微生物の分裂、伸長
2.2.2 培養と微生物の増殖
2.2.3 増殖の環境条件
2.2.4 選択的培地と集積培養
2.2.5 培養困難な土の微生物
2.3 微生物の飢餓または耐久
2.3.1 微生物の飢餓細胞
2.3.2 微生物の耐久体
2.3.3 鉱物化細菌

3。土のすみ場所と微生物群集
3.1 すみ場所
3.1.1 土の骨格を構成する物質
3.1.2 固体表面とミクロな環境
3.1.3 孔隙の径および内部の溶液、気体
3.1.4 土の団粒モデル
3.1.5 微生物の動態と団粒モデル
3.1.6 洗浄・音波法による微生物細胞の分画
3.1.7 ミクロ団粒内の細菌の形態
3.2 土の微生物群集
3.2.1 細菌、糸状菌、原生動物、藻類
3.2.2 発酵型微生物、固有型微生物、低栄養微生物
3.2.3 細菌群集とコロニー形成曲線
3.2.4 森林、草地、畑、水田の微生物群集
3.2.5 気候帯、土地高度による微生物群集構造の違い

4.植物と土の微生物
4.1 微生物−植物の活発な相互作用の場、根圏
4.1.1 根から土壌に分泌される有機物
4.1.2 根圏に生息する微生物
4.1.3 根圏の植物日和見感染菌
4.1.4 根圏における植物と微生物、原生動物の相互関係
4.2 葉面微生物
4.2.1 葉面細菌と色素生産
4.2.2 葉面の窒素固定菌
4.2.3 葉面細菌の生態
4.3 植物と窒素固定菌の共生
4.3.1 マメ科根粒菌
4.3.2 Frankia属放線菌
4.3.3 地衣類
4.4 菌根菌
4.4.1 アーバスキュラー菌根
4.4.2 外生菌根
4.4.3 エリコイド菌根
4.4.4 ラン型菌根
4.5 エンドファイト
4.6 Agrobacteriumによる根頭癌腫
4.6.1 根頭癌腫の形成過程
4.6.2 Agrobacteriumを用いた植物への遺伝子導入
4.7 病原微生物
4.7.1 土壌病害
4.7.2 土壌病害を引き起こす微生物

5。土の物質変化と微生物
5.1 炭素サイクルと微生物
5.1.1 二酸化炭素から有機炭素の合成
5.1.2 高分子有機物の分解
5.1.3 メタンの生成と消費
5.2 窒素サイクルと微生物
5.2.1 窒素固定
5.2.2 硝化
5.2.3 硝酸還元、脱窒
5.2.4 アナモックス反応
5.2.5 有機化(不動化)
5.2.6 アンモニア化成
5.3 硫黄サイクルと微生物
5.3.1 硫黄酸化
5.3.2 硫酸還元
5.3.3 揮発性有機硫黄化合物
5.4 鉄、マンガンの酸化、還元と微生物
5.5 土壌中のリンと微生物
5.6 難分解性有機化合物の分解とバイオレメディエーション
5.6.1 油
5.6.2 有機ハロゲン化合物
5.6.3 重金属汚染とバイオレメディエーション

6。人間の生活と土の微生物
6.1 衛生環境としての土の微生物
6.1.1 腸内細菌などの汚染と土の浄化能
6.1.2 土に生存または生残する病原細菌、食中毒細菌
6.1.3 土に生存する病原性の糸状菌、原生動物
6.1.4 増大する土の薬剤耐性菌
6.2 地下水と微生物
6.2.1 土の表層から下層への微生物の移動
6.2.2 地下水中の微生物
6.3 耐久材の微生物劣化
6.3.1 土中の金属腐食
6.3.2 コンクリートの劣化
6.3.3 木材、プラスチック
6.4 野外文化財の微生物劣化
6.4.1 地表文化財と微生物
6.4.2 地中埋蔵文化財の微生物による劣化、腐朽

7。地球環境からみた土の微生物
7.1 大気の温室効果ガスと土の微生物の働き
7.1.1 土の微生物による二酸化炭素とメタンの生産と消費
7.1.2 微生物による窒素酸化物の吸収と放出
7.2 酸性雨と土の微生物
7.2.1 土の緩衝作用と酸性雨
7.2.2 酸性雨に対する微生物群集の反応
7.3 高濃度の窒素、リン肥料による土の微生物活動への影響と環境汚染
7.3.1 土壌病害の多発
7.3.2 植物根−菌根菌共生系の抑制
7.3.3 生物的窒素固定の抑制
7.3.4 土のメタン酸化活性の抑制と促進
7.3.5 硝酸態窒素による地下水・河川水の汚染
7.4 森林伐採・開墾や森林火災が土の微生物群集へ及ぼす影響
7.4.1 糸状菌
7.4.2 細菌
7.4.3 窒素サイクルへの影響
7.4.4 開墾畑における森林由来の植物病原菌
7.5 地球史の中の土の微生物
7.5.1 大陸地殻の形成と変遷
7.5.2 微生物の進化と大地
7.5.3 生態系の進化と土の微生物
7.5.4 人間の活動と土の微生物

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